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only one【完】

第10章 向き合う心

「そっかぁ…」





隆史がいったん俯いてから、顔を上げ、








「…で、今度は何で泣いてるの?」





止まったはずの涙が、また流れ出している。




隆史が「よいしょ」と立ち上がり、私の前まで来ると、俯いている私の顎に手をかけ、
クイッと上を向かせる。




ぼやける視界に写るのは、眉をひそめて切ない顔の隆史。








「俺のことで泣くのはいいけど、
他の男のことで泣かれるのはヤダね」








隆史はいつからこんな意地悪を言うようになったのだろう。








「昔と逆だな」





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