
短編集。
第2章 客×花魁
あの事件が起きてからいくつかの年が過ぎた。
もう僕は20。
心姫も、20になってたんだろうな…。
あのあと、心姫は自分の腹をさして死んだ。
かいと心姫は一応、緊急医療所へ運ばれた。助からない最初に言われ、その後は聞くのが嫌で何も知らない。
『あなたの腕に抱かれたあの夜。
あなたの本当の顔を知ったのに。
もう、今はあなたの顔を見ることはできない
あなたがもし生きてるのならば
私は貴方と共にこの生涯を生きていく。
あなたにもう一度会いたいと願う。』
「かい、会いたいよぉ…。」
僕は、部屋から一歩も出ず。
かいの着ていた着物を抱きしめて泣く。
そんな日々が続ていた。
