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君の隣の相棒さん、

第38章 冷たい瞳(伊※)

「‥‥許せよ」



一見、ソファーに手をついて髪を掻き分けて彼奴の額に口づけるそれは、襲いそうな勢いで覆い被さっているかのように見える体勢だった。

その反動でか、彼奴がうっすらと瞼を開き俺を見上げた。



『伊丹さん…?』


「ぉ、起きたか」


『はい‥寝ちゃったんですね、私』



まだ少し眠気が抜けないのか呟くような声で話す彼奴は、次に抱き着いてきた。


────あ、コイツまだ酔ってんだ…


思い出したようにそう呟くと彼奴が俺の頬に触れてくる。



『伊丹さん…伊丹さんは、私を助けてくれるんですよね?』


「ん?‥ああ、そうだ」


『じゃあ、今私を助けて見せて下さい』


絡みつく視線は訴えかける。
一瞬躊躇った思考を押し殺し、彼奴の頬に触れた。



「ああ‥救ってやるよ、俺のやり方でな」



繋がれた手と手。指と指を絡めて近付く距離。
やがて互いを呼び合うと口づけた。

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