嘘でもいいから
第7章 好きになってごめんね
想さんと私は無言で居酒屋を後にした。
ビルの外に出ると
ふわっとアスファルトの匂い…
小雨が降り出したところだった。
まただ…この匂いを嗅ぐと
嫌でも隼人のことを思い出す。
それはここ数ヶ月続いていたこと。
でも今日は悲しくなんかならない。
ただ、胸の鼓動がうるさくて。
頬が、耳が、熱くて…
想さんの顔が見られなかった。
想さんは、
雨が降っているのを見上げると…
ちょっと待っててね、
と言いながらビルの中に戻り
ロビーでスマホをいじりながら
何ヶ所か電話を掛けていた。