冴えかえりつつ 恋
第5章 春休み
犬と戯れる遥暉は中学生らしく微笑ましい。
県美での印象とは随分違い、親近感が湧いて隣に腰をおろした。
「丸山君の家はここから近いのかい?」
「2キロくらいです。駅まで徒歩10分。」
「それは便利たね。じゃあ、同じ小学校と言っても校区の端と端なんだね。」
「そうですね。……あの…、藤蔭ってどんな学校ですか?」
「編入生は殆どいないから、何かと大変だろうね。不安かな?」
「はい、少し。」
「大丈夫、やることやってれば自由な学校だよ。
素行の悪い話しも殆ど聞いたことない。
……ただ、男子校だから丸山君みたいな綺麗な子は気をつけたほうがいいよ。
油断していると玩具にされるからね。」
苦笑しながら遥暉をみると、キョトンとしている。
「岡田さんもそんな目に会いました?」
「なんで、僕?」
泰弘はさらに苦笑した。
「だって先輩、綺麗な顔してますよね。
優しい性格が顔に出ていて、頼まれたら断れなさそうですけど?」
ーー鋭い。
「まいったなぁ。まあ、文化祭なんかは悲惨な思い出しかないかな。」
泰弘は苦笑していた。
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