
*世界で一番愛する人へ*
第12章 *ひなの婚約者*
卒業式当日。
ひ「和くん…」
『な、なに?』
ひ「お母様、いた…」
え…
……あ、ホントだ。いた。
『ひな、今日は一生に一度しかないんだから、嫌な事は忘れよう?』
ひ「和くん…」
卒業式を、卒業式のあとのパーティーも、嫌な気持ちでいてほしくない。
パーティーは、楽しんでほしい。
『それじゃあ、またパーティーでね。』
ひ「うん。」
『迎えに行くから、家で待ってろよ!』
ひなは言葉を返して来なかったけど、微笑んだ。
向こうを向いた瞬間、手で顔を覆ったのは、知らなかった事にする。
あと、顔が真っ赤だったのも。
