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私の掏明くん

第24章 終電間際



東矢「ごめん、ごめんね千尋…」

千尋「ッ!!」


その瞬間
涙が一気に溢れた
自分の事を川澄ではなく千尋と
あの頃と同じように千尋と名前で呼んで
くれた
名字ではなく名前
それが意味する事とは…


千尋「思…思い出してくれたの…」

東矢「うんっ」

千尋「ほっ…本当?」

東矢「本当に」

千尋「うぅ…東っ、掏明…掏明…」

東矢「…ごめんね」

千尋「うわぁぁぁぁぁ…」


ここが
電車という事を忘れ
千尋は東矢の腕の中で大声で泣いた
泣いて泣いて
東矢の服に大きな涙のシミが出来るほど
声が涙が枯れるほどに
泣いた


千尋「…ぐすっ」

東矢「落ち着いた?」

千尋「…うんっ、ありがとう」


どうにかこうにか
落ち着きを取り戻した千尋
だけど冷静になったのは降りる駅を数駅
乗り過ごした
後だった


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