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背徳の雨

第6章 甘い愛の裏側


歓楽街から離れ
暗い夜道へ向かう私達。

和稀の背中を眺めて
私は彼が運転する自転車の後ろに
座ってる。

「君はどんな人がタイプなの?」

何気ない会話。

「優しくて誠実な人かな」

薄っぺらい中身のない、会話。
そんな会話を交わしながら
彼が向かった先は
街灯も疎らな小さな公園。

私は自転車から降りると
ブランコに座った。
和稀も自転車を止め、
私の隣のブランコに座る。

「本当に俺の事知らない?」

私は和稀を知らない。
本当に見た事もない。

「本当に知らないよ」

見た事も聞いた事もない。

和稀はポケットから
携帯を取り出し
携帯をいじり始めたかと思うと
画面を私の方に向けた。

「俺、バンドマンなんだ」

画面に写るのは
派手な衣装を身に纏い
化粧をした和稀だった。

「そうなんだ。
でも全く知らない。」

本当に知らない。
でも画像を見る限り、
人気のないバンドではなさそうだった。
だが何て名前のバンドかは
敢えて聞かなかった。
どうせ答えてくれないのだから。

バンドマンだと知ると
なんとなく凄い人と出会ったのではと
胸を高鳴らせた。

初めて出会ったバンドマンに
特別な感情を抱きながら
私は彼の話をただ聞き続けた。

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