背徳の雨
第5章 儚く、脆く
「しゃっせぇ〜」
慣れた物だ。
客の隣に座り、酒を浴びるように飲めば
客は喜んでくれる。
飲めば飲む程に
俺の売り上げも上がるし
酒も好きだから一石二鳥。
でも正直酔っぱらいの女相手は辛い。
俺の客は殆ど病んでる奴ばかりで
酔えば泣き出す子が殆ど。
自分の悩みを俺にぶちまけて
すっきりするなら
それはそれでいいのだが…。
一番タチが悪いのは
脳内真っピンクになる子だ。
無闇やたらに
俺の身体をベタベタ触ってきて
更には色枕を求めてくる。
付いてないのにどうしろと。
最初はそう思ってた。
俺は最初女に興味が無くて
むしろ同性愛を
偏見していた面があった。
でもそれじゃやっていけなかった。
淋しい奴ばかりで
悩みを言って
すっきりして帰る子も居るが、
悩みを言っても淋しいのか、
酷く肉体関係を迫られ
一晩中俺に甘え、淋しさが消えるまで
快楽を欲しがる子もいた。
最初は俺の顔、もしくは性格が気に入り
そうやって求めてくるのだと思っていたが
最近気が付いた。
すっきりして帰る子は
きっと俺が女だから話しやすい、
気持ちをわかって貰える、
そう思い、会いに来る普通の子。
身体を求めてくる子は
寂しい同性愛者。
そう思えば何となく納得出来た。
正直未だに余り
女の子が好きではないが
仕事だから仕方がないのだと割り切る。
そんな感じで、
○○ちゃんだから、と態度は変えず
皆一律、平等に接していた。
誰にでも優しく、フレンドリー。
俺のキャッチフレーズだ。
フレンドリーだからと言って
張っちゃけたキャラクターでは無く、
落ち着いた、大人しめなキャラクター。
フレンドリーなのに
どうして大人しいの?
よく客に言われた言葉。
「紫髪で張っちゃけてたら、
なんか色々うるさくないか?」
いつもの返し。
俺は紫髪だ。
当時、この店に
派手な髪色をした従業員は
俺一人しかいなかった。
だから店の中でもやたらと目立ち
皆の視線を引いていた。
最初の頃は他の従業員の客の希望で
よくヘルプに付かされていた。
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