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背徳の雨

第2章 コワレタ、モノ



しかしその夜

「おい、ゴラァ!」

急に玄関のドアが勢い良く開き
凄い剣幕で男が家へ入ってきた。
誰かと思えば母方の祖父で
急に父の胸ぐらを掴み、怒鳴り付けた。

「どうなっとんや!!」

父はキョトンとしていた。
何の事かさっぱりわからない父は
軽く混乱した様子だったが、

「音羽が殴られとんや!」

祖父がその言葉を言った途端
私の顔は強張り、
父は険しい表情をした。
どういう事かと問い詰められたが
私は何も答えず、じっと俯く。
佳代は知らん顔でテレビを見ており
その顔は心なしか怒っている様子だった。

「この女がやったんとちゃうんか?!」

祖父は佳代を指差しながら怒鳴った。
父はそんなはずないと言ったが
私は何も答えない。

「じいちゃん、帰って」

私は何もされてないから
そう言ったけど祖父は帰ろうとはしない。
断固として佳代がやったと言い張り、
動こうとしない。
とりあえず帰ってと事態を収拾する為、
父は無理矢理祖父を帰そうとするが
祖父は父の胸ぐらを掴み、殴りかかった。

「…っ!」

その瞬間、
私が殴られている時を思い出し
怖くて震えた。
殴りあう二人を背に私は自室に戻り
草臥れて血で汚れた布団の中で
息を殺しながら泣いていた。

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