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仮面な人たちの恋愛夢小説

第10章 飼って飼われて愛されて、(WBL)

人気の少ない通りに脚を運んだ翔太郎は階段に腰を降ろし、街の風を浴びているとそんな翔太郎の真後ろから声をかけてきた人物がいた。

「やけに湿気てるじゃないか」

「…霧彦か。何か用か?」

「酷い言い草だなぁ…その分だと、何か悩みごとがあると見た」

園崎霧彦。
園崎家の亭主でありドーパントであり、風都の街を愛する男。
何でもないとき翔太郎はこうしてたまに霧彦と会って話しをしていた。

「やっぱり悩んでるように見えるか?」

「あぁ。それも深く強くね。‥‥さては探偵君、恋をしていないかい?」

「こ、恋だぁ?だとしたら大問題だぜ。普通の恋じゃねぇーからな」

「‥というと、まさか相手は男…?」

「そのまさかだとしたら…?」

溜め息混じりに話す翔太郎に霧彦は少し戸惑うも、すぐに彼らしい答えを出してくれた。

「男同士が悪いものだとは言わないさ。そういう人間だってこの広い世界には何万といる。何も恥じることはないさ」

「そうか…ありがとな。何か自信ついた気がするぜ」

「その意気だ探偵君。幸運を祈っているよ」

──彼の言葉と風都の風が翔太郎の背中を優しく後押しした瞬間だった。

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