All Arounder
第2章 I am an…
オレには、家族に言えない秘密がある――――――
「大志、そろそろあんたの彼女、家に連れてきてよ」
母さんは冷蔵庫からお茶を出しながら言った
「何でー?」
「見てみたいんだもん」
―――ひとつ目は、オレに彼女なんていないこと
「また今度連れてくる」
「楽しみにしてるね」
朗らかな笑顔は、息子のオレでも可愛いと思うほどだ
朝食を取り終えると、オレは鞄を持って玄関へ向かう
玄関ではもう親父が靴を履いていて…
いつもいつも出かける時間が被るんだ
マジうぜぇ
「邪魔だし」
靴が履けねぇだろ、クソ親父
「…」
親父はオレの靴をわざと踏ん付けやがった
ガキか!!
「美空、早く用意しなさいよー!!
大志、斉藤、いってらっしゃい」
何で母さんが親父を名字で呼ぶのか不思議だったが
今ではもう慣れた
「行ってきまーす」
―――家族に言えない秘密、ふたつ目…
「どけ、親父」
「じゃーどかねぇ」
ドカッと親父のケツを蹴り出してやる
「さっさと行けよ馬鹿」
―――――オレが向かう場所は、高校じゃない
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