All Arounder
第34章 After A Long Time
―――――――――――
どこからともなく、啜り泣くような声が聞こえた
「…ゆうひ?」
心配になって寝室へ入ると、ゆうひがベッドの上で泣いていた
斉藤が入ってきたことに気づき、ゆうひは急いで涙を拭う
「と…突然入って来ないでよ…」
「ごめん…」
斉藤はゆうひの隣に腰を下ろした
泣いている理由は、だいたい察しがつく
「はぁ…」
ゆうひは熱い息を吐いた
「…どうした?」
「…って…」
そしてゆうひは、斉藤の胸に抱き着いた
「大志に…会いたいなって…」
また震え出す声に何もしてやれず
とりあえず、その腕をさすってやった
「…ごめん」
もとはと言えば、自分のせいなのだ
大志があんな風に育ったのも、最後には家を追い出すハメになってしまったのも
もとはと言えば…
「斉藤は…謝らないで…」
斉藤は首を横に振った
「斉藤は悪くないよ…あれは…仕方なかったことだよ…」
「でも追い出したのは…オレだ…」
「それならあたしも…止められなかったあたしも悪いから…」
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