刑事とJK
第97章 根城の裏で笑う者
「斉藤刑事…今の人は?」
「平尾さんだ。
遠藤さんと同期で、仲が良かった」
「…」
黙り込む嘉山を励ましてやろうなどとは思わない。
斉藤は早速現場を細かく見ていくことにした―――
まだ、遠藤の流した血はそのまま床にこびりついていた。
誰も拭き取っていない…いや、拭き取ってもらったら困る。
「…」
頭部があった場所に、丸を塗り潰すようにして固まった血。
斉藤はそれだけを見て、動こうとしない。
「どうしたんですか?」
「…いや」
嘉山の声にやっと動き出したかと思うと、斉藤は床にはいつくばった。
「?
斉藤刑事?」
そのまま何かを探すように床を回る。
目当てのものが無かったようで、今度は壁に手をついて睨めっこし始めた。
「…」
そして、壁伝いにまた何かを探す斉藤。
「何…してるんですか?」
「ねぇんだよ」
「はい?」
「殴られた時に飛び散ったはずの血痕が、どこにもねぇんだよ」
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