刑事とJK
第97章 根城の裏で笑う者
「何だと?」
斉藤は眉間にしわを寄せた。
嘉山の言葉に、もう一度視線を写真に戻す。
「…」
写真に写っている遠藤は、どこからどう見ても俯せているようにしか見えない。
「おめぇ、見間違えたんじゃねぇか?」
「そ、そんなはずありません!!
仰向けじゃなきゃ、倒れてたのが遠藤さんだったなんて断言出来ませんでしたよ!!」
「でもよぉ…」
嘉山が嘘をついているようには見えない。
しかし嘉山の証言と写真とで食い違いが出たということは、誰かが遺体の向きを変えたということになる。
「…犯人か」
この場にいるのは、皆刑事や警察ばかりだ。
そんな専門家が、殺害現場を荒らすような真似をするはずがない。
もし仮に素人が遺体と接触したとしたって
俯せを仰向けにすることはあっても
わざわざ仰向けを俯せにするようなことはしないだろう。
それなら考えられる線は限られてくる。
「犯人が何らかの目的で、遺体を反転させた」
「へ?」
「その可能性が高い。
嘉山、当時の状況を再現しろ」
「は、はい!!」
嘉山は元気よく返事をすると、パタパタと廊下へ出て行った。
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