向かいのお兄さん
第57章 共に歩んで
それから何日くらい経ったかな
ほんの数週間後
あたしはふいに直也との時間が欲しくなって、デートしたいって頼んだ
でも…
「日曜か…ごめん、用事ある」
まじかよ
直也は額を伝って行く汗を適当に拭うと、作業していた手を休めてくれた
今日は天気がいいから、佐藤造花店の中はむしむしとしている
『何で?
前も行けなかったよ?』
「うん、でも…ほんと、ごめんな」
申し訳なさそうに眉毛を下げて
大きな手のひらがあたしの髪をぐしゃぐしゃに乱した
少し苛立った気持ちも、たったそれだけで静かになってしまう
『用事ってなに?』
ストレートな質問に、直也は口をつぐむ
隠し事
やんなっちゃうな
『じゃあ、空いてる日を教えてよ』
それならいいでしょ
あたしが直也に合わせちゃえば…
「しばらくデートできないんだ…なかなか時間無くてさ…」
おいおいおい
そんなの無しっしょ
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