向かいのお兄さん
第54章 好きだから、食え
『直也…もともと負けてなんかないよ…?』
あたしの肩で小さくなる直也…
ちょっと隙間が出来たから
今度はあたしが
抱きしめた
『直也はね、何してても、あたしの中じゃ1番だから…』
「…ぅそくさぃ…」
え?
『直也…?』
「…」
上擦った直也の声を聞くのは
初めてだった
この子、もしかしたら、泣いちゃってるのかな…?
『嘘じゃないよ?』
「…」
『それにあたし、ずっと直也のそばにいるって約束したじゃん』
「…うん」
あたし
笑っちゃった
声には出さなかったけど
笑っちゃった
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