向かいのお兄さん
第53章 崩れ
「美咲ちゃん…!?」
走ってくる足音が近づいてきたかと思うと
あたしは腕を掴まれた
「何こんなとこで座ってんだよ…!?」
掴んできた腕はあたしを立たせてくれた
少し振り向くと、それは雅也さんだった
『…』
「雨降ってんじゃんよ…早く家入って…!!」
あたしは首を横に振って
引っ張っていこうとする雅也さんの手を払った
「…」
『…』
雅也さんは困った顔をしたまま
あたしが持っていた袋に目を落とした
「それ…昨日作ってたやつ…」
『…』
「直也…受け取らなかったのか…?」
『…』
「なぁ、美咲ちゃ…」
あたしは袋を
自分の後ろに隠した
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