向かいのお兄さん
第50章 俺だけのもの
「疲れた?」
『…』
美咲は俺の服に顔を埋めたまま、首を横に振った
「…美咲、聞いて」
『…?』
黙ったまま、美咲は顔を上げる
「今日のこと、秘密な。
お兄ちゃんと、約束して?」
『…秘密?』
「うん。わかった?」
『うん、秘密』
美咲はコクッと頷いた
俺はもうひとつ、付け足しておく
「美咲は…」
『?』
また不思議そうな顔をする美咲の頭を大きく撫で
俺は美咲を靴箱から下ろした
『なぁに…?』
「ううん、何でもないよ」
もう、わかってんだから
美咲は
俺のもんだって
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