
向かいのお兄さん
第47章 記憶にない記憶
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『…』
目を覚ますと、いつもの見慣れた天井が見えた
あたしの部屋だ
ふっと横を見ると、直也の顔もあった
「おはよ」
『…直也…』
あたし、どうなったの?と聞く前に、直也が教えてくれた
「倒れたんだぞ、大丈夫か?」
『…頭…痛かったの』
布団から手を出し
直也の服をキュッと握った
それだけで、安心できる…
『…変なの…』
「何が?」
『あたし…小学生の時に…』
「は?」
言いたかったけれど
口をつぐんだ
ちょっと言うには
言える内容ではなかったから…
