
Memory of Night2
第4章 同居
鼻孔をくすぐる晃の匂いと、体が柔らかく沈む感触。自分の部屋のベッドよりも寝心地がよく、気持ちいい。
宵は仰向けに横たわり、さっさと散らばった参考書などをまとめ始めた晃に視線を向ける。
端正な横顔を複雑な気分で眺めていた。そしてふと思ったことを口にする。
「……おまえって、父親似だよな」
「うん。よく言われる」
晃は手を止めずに、軽く頷いてみせた。
宵はさきほどまで対面していた晃の父親の顔を思い返す。
高い鼻梁や、笑うと途端に柔らかくなる切れ長の瞳。まとう雰囲気もよく似ていた。
晃が常日頃からつけている甘いマスクはさすがにかぶっていなかったし、年相応の貫禄もあった。目の下には隈(くま)もあり、いくつか皺も見えていた。仕事で疲れていたのだろう。
けれども笑い方や声はとてもよく似ているのだ。
晃が年を取ったら、きっとあんなふうになる。宵にそう感じさせるくらい、晃には父親の面影があった。
「あ、ちょうどいいものがある」
「ん?」
「アルバム、見る?」
晃は、表紙と裏表紙が硬い薄い青色をしたそれを宵に差し出してきた。
