秘書のお仕事
第8章 失態
『うぇえーん…ぇえーん…』
社長に埋もれて、なんだか懐かしい匂いがした
軽く鼻をくすぶる香水に紛れて、社長の匂いがしたんだ
「…いい年した大人が、わんわんと泣くな」
『だって…だって…』
「今回の失態はなんとかした。
次からは気をつけろ」
…次?
あたしの涙はぴたりと止まり、やっと社長の顔を見た
『クビにしないんですか…?』
「だれがそんなこと言った?」
『え…いや…あの…』
「お前は出来の悪い秘書なんだから、まだまだ精進してもらう」
社長の頭が視界に入ったかと思うと、首筋がぴりっと痺れた
『んっ…何して…』
「さて」
社長がニヤッと笑った顔を上げ、やっと吸われたんだとわかった
「綺麗に赤く印がついたな」
『!!?』
あたしは急いで痺れた箇所を手で隠した
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