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どらくえ3

第6章 ほこらの夜に

イースの構えは明らかに突きの構えだった。

イースに殺気を感じる。

目が鋭くなる。

―あの構えは見たことがある!

アベルが王宮の剣術大会を見に行ったとき、イースはこの突きで見事、優勝したのだ。

電光石火の突きだ。

アベルの心臓が高鳴る。

―受けきれるだろうか?

自信はなかった。

だが怖くもなかった。

イースが奥義とも言うべき技を自分に対して使ってくれることが嬉しかったし、興奮した。

イースもアベルに対して「覚悟しろ」と言ったが、同時に自分自身も覚悟を決めなければならなかった。

―この技は手加減はできない。誤れば、アベルは大怪我をするかもしれない…。しかし、この技を一人でどうにかできないなら、それまでの男だったということ…!

ギュッと剣を握る手に力を込めるイース。

向かい合う二人。

間合いはすでに技の範囲内。

あたりの空気が張り詰める。

さすがのリサも口を挟まない。

…。

……。

………。

「いくぞぉああ!!」

「しゃああ!!」

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