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さくらさく

第6章  5


「奈々。」

ぺちん…っ

「へ…」

あたしは軽く日向に叩かれた。

「お前がそんなんじゃダメだろ?」

「だって…」

「奈々が支えなきゃいけないだろ?おまえが泣いてどうすんだよ。」

支える…?

あたしにそんなことできる…?

「これ以上夜桜を悲しませるな。今、奈々に出来ることは?」

あたしに出来ること。

今までと変わらず、

さくらのそばにいる。

そして悲しませない。

「あたしが泣いたらダメだよね…っ東だってガマンしてるもんね…っ」

と言いつつもあふれる涙。

「ひ、なた。」

「ん?」

「今だけ。今だけ泣いていい?」

「…いいよ。」

あたしは日向に抱きつく。

「…っ、ふ」

未来のことは考えないで。

今だけを考えて。

残りの時間を精一杯楽しむんだ。

あたしがクヨクヨしちゃダメだ。


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