
月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】
第23章 揺れる心
それでなくとも、先刻、義母に手酷い侮辱の言葉を投げつけられたばかりだ。
香花は自分の腰に回された光王の両手をふりほどき、わずかに身体を離した。
「今は昼間なのよ?」
「何、構うことがあるものか。俺たちは夫婦だぜ? ちゃんとした夫婦がいちゃついたって、どこの誰も文句なんて言えやしないさ」
光王が両手を伸ばして更に香花の身体を抱き込もうとするのに、香花は〝光王!〟と抗議の声を上げ、猛然と抵抗した。
と、光王が急に声を上げて笑い出した。
香花の背に回した手はそのままに、光王は腹を抱えて笑っている。
「何がおかしいの?」
不思議そうに訊ねた香花に、光王はまだ笑いながら応えた。
「いや、お前は相変わらずだなと思って」
な、騒馬(ソマル)姫と、優しく呼びかけられ、声の響きとは裏腹に、どこか心に引っかかる呼び名に香花の柳眉がつり上がる。
香花は自分の腰に回された光王の両手をふりほどき、わずかに身体を離した。
「今は昼間なのよ?」
「何、構うことがあるものか。俺たちは夫婦だぜ? ちゃんとした夫婦がいちゃついたって、どこの誰も文句なんて言えやしないさ」
光王が両手を伸ばして更に香花の身体を抱き込もうとするのに、香花は〝光王!〟と抗議の声を上げ、猛然と抵抗した。
と、光王が急に声を上げて笑い出した。
香花の背に回した手はそのままに、光王は腹を抱えて笑っている。
「何がおかしいの?」
不思議そうに訊ねた香花に、光王はまだ笑いながら応えた。
「いや、お前は相変わらずだなと思って」
な、騒馬(ソマル)姫と、優しく呼びかけられ、声の響きとは裏腹に、どこか心に引っかかる呼び名に香花の柳眉がつり上がる。
