
月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】
第18章 第5話【半月】・疑惑
香花はまるで親の帰りを待ち侘びていた子どものように、小走りに駆け寄る。
「お帰りなさい」
しかし、光王はいつものように香花を優しい眼で見つめ、頭を撫でてはくれなかった。
「ああ」
ややぶっきらぼうともいえる様子で軽く頷くと、そのまま香花の方を見ようともしない。
「今日は遅かったのね。町で何かあったのではないかと心配したのよ」
あまりにも待ちくたびれた気がしていたので、思わず洩れてしまったひと言であった。
「そうか」
光王が少し面倒臭そうに言う。
「そうかって―、光王。たった、それだけ?」
その時、初めて光王が香花を正面から見た。
「じゃあ、何をどう言えば良いんだ。少しくらい帰りが遅かったのを詫びて、その理由をきちんと説明しろとでも?」
光王は背負っていた大きな荷を降ろしながら、抑揚のない声で呟く。
「お帰りなさい」
しかし、光王はいつものように香花を優しい眼で見つめ、頭を撫でてはくれなかった。
「ああ」
ややぶっきらぼうともいえる様子で軽く頷くと、そのまま香花の方を見ようともしない。
「今日は遅かったのね。町で何かあったのではないかと心配したのよ」
あまりにも待ちくたびれた気がしていたので、思わず洩れてしまったひと言であった。
「そうか」
光王が少し面倒臭そうに言う。
「そうかって―、光王。たった、それだけ?」
その時、初めて光王が香花を正面から見た。
「じゃあ、何をどう言えば良いんだ。少しくらい帰りが遅かったのを詫びて、その理由をきちんと説明しろとでも?」
光王は背負っていた大きな荷を降ろしながら、抑揚のない声で呟く。
