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ひと夏のアバンチュール

第4章 微妙な関係

ホテルロビーにある

生演奏が聞けるバーにライアンはいる


中央には円柱の水槽

色鮮やかな熱帯魚がダウンライトの中
ひときわ輝きを増し泳ぎ回る

脇を飾る観葉樹
フェニックスの葉が空調に合わせざわめき出す

奥のステージでは

薄暗い空間に心地好いピアノの音色

女性シンガーの声量のある歌声が
観客を惹き付けていた





「ご案内致します」

ライアンを探しキョロキョロする
私に店員が声をかけた

「カウンターでお願い ・・1人だから」


品定めするような目で私を見る


「・・・かしこまりました」


水槽の前
ステージ横の椅子を引いた



ライアンの姿を未だに見つけられない
まま時間だけが過ぎていく



3杯目を店員に告げた


ホッとする私と

無性に腹立たしくなる私がいた




そう言えば
時間も決めてない

後でなんて
確かにした約束じゃない

必ず来るなんて
信じた私が悪いんだ


一人で失笑してしまう

「本当 バカみたいっ」

注文したカクテルが運ばれてきたと
同時に一気にカクテルを飲み干し


店を出ようと席を立った

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