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掌の浜辺

第1章 春 - story -

5.チェンジ

天気が変わる瞬間を
あなたは目に焼きつけたことが
ありますか


 部室の中から、いいよという合図があった。いよいよお披露目。小野里がどんな変貌ぶりを見せてくれるか、他の部員たちは期待で胸を膨らませていた。
 扉を開ける。
 ギュィ-
 「うわ!萌え~」 「てか気色悪」 「ええ?可愛いでしょ」
 賛否両論だったのが意外だ。みんな引くと俺は思いこんでいたから、なおさらだ。
 どんな格好かというと、黒いストッキングにショ-トパンツをはき、キャミソ-ルの上に少し短めの上着をまとい、ネックレスと腕輪をつけたカジュアルギャル風?ファッション。

 カッカッカッ
 サササ- 「あとは頑張って。じゃあ」
 化粧用品が投げこまれ、1人の女子部員と俺を残して他の人たちはここから出ていってしまった。
 沈黙が流れた。今度はメイクをしてもらえって…あれで終わりじゃなかったのか。
 「ぱぱっとやっちゃおう?」
 「お」
 ポンポン
 シュシュ-
 ス-ッ
 ン-
 「できた」
 「どうも」
 ドア、オ-プン!
 ギュィ-
 「わ!ヤベ~」 「ほお」 「すごい可愛い」
 なぜか評価は上々。鏡を見る。きもすぎる。このどこがいいのか、全くわからない。
 (…ありえん)

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