一万回目のプロポーズ
第8章 ドキドキの始まり
―――――――
『ちょっと、離してよ!!』
あたしがその手を払おうとすると、山口君は自分から離した
もうそこは、人気の少ない場所
「笹川さん…」
いやらしい笑みを浮かべ、あたしを見てくる
「僕のこと…好きなんだよね?」
『え?』
「前に言ってたよね…僕のことが好きなんだって…僕、僕それで笹川さんのこと…」
冗談でも
ホイホイと適当なこと、言っちゃダメだな
って、反省した瞬間だった
『あ…あの…だからあれは…嘘なんだよ?』
「え?」
『もしかして…マジで受け取った…?
だったら…ごめん』
相手を傷つけないように誤解を解こうと
一生懸命努めたけれど
「嫌だよ…笹川さん、僕と付き合ってよ…」
『ごめん、あたし…好きな人…いるから…』
でも
ダメだった
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