一万回目のプロポーズ
第3章 優しくすんな
『いいって…どうせもうびしょ濡れなんだし…』
「気持ち気持ち」
またさらに、傘を突き出してきた
『…千尋に貸してあげたらいいじゃん』
「はあ?」
『あたしはあんたの…彼女でも何でもないんだよ!!』
そう言い捨て、走った
また滑ってこけてしまわないように、少し気をつけながら…
しかしその瞬間、稲光が目に映った
『やっ…』
ピシャーンッドォオン!!!
『やだぁああああ!!!!』
あたしは耳を塞いでその場にしゃがみ込んだ
恐怖で顔も上げられない
「雷怖いの、昔っから変わってないんだなー」
ふっと雨が止んだかと思って見上げると
傘と一緒に俊司の笑顔があった
「明奈ん家ってまだ遠いだろ、俺んとこで乾かしていけよ」
『え』
今…
"明奈"って…
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