
恋愛アノマリーズ×1学期
第1章 新堂寺家の掟
「楽しんでもらえそうだとは言ったが、極端に言えば600人の飢えた野郎がお前に襲いかかってくるってことだ。本当にわかってんだろうな?」
話を持ち出してきた雪斗兄さんがそんなことを何度も確認してくる意味が分からないけれど、兄さんの命令なら逆らう理由がない。
兄さん自身はきっと、私が嫌だといえば取り消してくれるのかもしれない。
でも、兄さんの命令を許容する周りがそれを許すはずがないのだ。
おかしな話だけれど、それが新堂寺家という場所だ。
これも、仕方のない話だ。
途中から髪を乾かす手が止まっている兄さんの身体へ、私はゆっくりともたれかかることにした。
