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RAIN

第2章 雨の中の出会い《翔side》

家から学校まで歩きで三十分近くかかる。

「よぉ、翔!」
「いって……!?」
バカでかい声をあげて、不快指数マックスに近い俺の背中を容赦なく叩く愚か者。
俺の額に浮かぶ青筋。
「てっめー……」
誰かなんて振り返らなくてもわかる。

「あれ? 怒っちゃった?」
まったく反省してないスポーツ刈りした腐れ幼なじみ、石田駿平(いしだしゅんぺい)のアホ面を見て、一気に気力が萎える。

「……お前の馬鹿力をまともに受けたんだぞ。フツー、怒って当たり前だろ」
「んー、わりぃわりぃ」
……絶対思ってないだろ。

「まあそんなに怒んなって。そんな顔、女子共が見たら嘆くぜ?」
「……そんなの関係ないだろ」
「いや、性格は最悪としても、顔だけは恵まれてるんだからよ。いいよな、顔が得だとさ。何しても『きゃー、神崎くん、カッコいい!』って言われるんだからさ」
……全然嬉しくないんだけど。

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