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RAIN

第2章 雨の中の出会い《翔side》

(姉貴か……)

鞄を置くためにリビング向かえば、小うるさい声が俺へと放ってきた。

「早く食べちゃってよ! 私だって今日は大学あるんだから」

いつも聞き慣れた台詞に、俺は無言を決め込んでみせた。

鬱陶しい気持ちを引きずったまま、適当に洗顔と歯磨きをして仕方なしに雑音の元へと向かう。

姉貴は慌ただしく食べ終わった食器を洗いながら、恨めしそうな瞳で俺を軽く睨みつけていた。

「早くしないとほんと遅刻になるわよ?」

なんだか最近の姉貴は小言が多い。

朝からテンション下げるような姉貴の小言を無視して、俺は用意された朝食を口にする。

やっと口やかましい姉貴の声も収まり、カチャカチャと食器を洗う音だけが響く中、ある違和感に気付き、俺は姉貴へと質問を飛ばした。

「お袋はもう会社に行ったの?」

「うん、今日は大事な会議があるからって言って、少し前に出てったわ」

食器を洗う手を休めず、俺の問いに答える姉貴に、俺はただふーん、と返すだけだ。

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