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S・受付嬢・25歳『らしさ』

第6章 S・OL・25歳『らしさ』(6)

2局目を終えて残された時間は僅かしかありませんでした。
彼女をキュッと抱きしめます。


‐もうサヨナラしなきゃだけどなにか進展あったら教えてな?

「うん。必ず連絡するよ・・・。」


カズと彼女が交わした約束。
その約束が果たされるのは1年後になるのか、2年後になるのか。

今は想像がつかないけれどきっと果たされる時がくるのでしょう。
それまではたくさん悩んで泣いても良いと思う。

人はどんな時だって悩みを抱えて生きているもの。
満たされない人は隙間を埋めることに必死になって、すべてを手に入れた人はそれを失うことを恐がってしまう。

どうせ悩むなら、仕事や健康のことで悩むより、恋愛のことで悩む人生が一番幸せなんだとカズは思います。



夜の六甲を車で走ります。
別れが近付いてくることを実感して無言が多くなっていく2人。

楽しかった1日が終わること。
今日まで毎日交わしたメールも電話も明日からなくなること。

いろんな想いが巡って息苦しくて胸が痛くて。
この恋にも似た感情をどう表現すれば良いのか。
ピッタリくるその言葉をカズは持ち合わせていません。

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