
異種間恋愛
第17章 見守る人
「今のはどういう意味だ」
すごく低い声だ。
「今の?」
「リアにキスをした」
「毎朝していたので、つい癖で。レオン様の目の前で申し訳ありませんでした」
毎朝していた。いつもリアより先に起きて、隣りで気持ちよさそうに眠っているリアの存在を確認する喜びを抑えきれずにする行為だ。
「何故、お前がリアのベッドにいる」
長身で小麦色をした肌の元王子は部屋に入ろうとせず、ずっと扉を手で押さえたまま僕を睨みつづける。
「リアが僕の面倒を看ると言って聞かなくて。僕も今目が覚めたところですが、この状態を見ると……ずっと起きて僕の様子を見守ってくれていたのかもしれないです。僕の頭に乗っていたタオルもまだ温かいし」
嘘は言っていない。しかし、僕の言葉が彼を酷く傷つけていることは明らかだ。
それでも、同情もしなければ遠慮もしない。
昨日、リアがどんなに悲しそうな顔をして耐えていたのかこの人は知らないのだ。僕とリアとの会話の断片を聞き、後を追ってきてくれたリアを拒否するなんて……。
「それよりレオン様こそ、どうされましたか?」
きょとんととぼけた顔を作る。
僕は表情を意識して変えるのに、元王子はしかめっ面のままだ。この人は自分の裏も表も持っていないのかもしれない。
それが僕にはとてつもなく羨ましく、さらに彼に対する憎悪の感情が肥えていく。
「俺は……リアがこんな時間になっても出てこないから心配になって」
一瞬、戸惑ったような間を僕は見逃すことができなかった。
本当は昨日のことを謝りに来たのだろう。
「リアには今睡眠が必要なので、もう少し寝かせてやってくれませんか」
短い時間でも嫌というほどティオン様の良い人柄を知り、その能力も力量も知った僕は本当に彼ならリアを幸せにすることができると確信した。そしてリアをティオン様の元へ送り出したのに、帰ってきたリアは今まで見たことのないくらい悲しい顔をしていた。
リアには幸せになってもらいたい。けれど……だからこそ、あんな顔をさせる人にはリアを渡したくない。
すごく低い声だ。
「今の?」
「リアにキスをした」
「毎朝していたので、つい癖で。レオン様の目の前で申し訳ありませんでした」
毎朝していた。いつもリアより先に起きて、隣りで気持ちよさそうに眠っているリアの存在を確認する喜びを抑えきれずにする行為だ。
「何故、お前がリアのベッドにいる」
長身で小麦色をした肌の元王子は部屋に入ろうとせず、ずっと扉を手で押さえたまま僕を睨みつづける。
「リアが僕の面倒を看ると言って聞かなくて。僕も今目が覚めたところですが、この状態を見ると……ずっと起きて僕の様子を見守ってくれていたのかもしれないです。僕の頭に乗っていたタオルもまだ温かいし」
嘘は言っていない。しかし、僕の言葉が彼を酷く傷つけていることは明らかだ。
それでも、同情もしなければ遠慮もしない。
昨日、リアがどんなに悲しそうな顔をして耐えていたのかこの人は知らないのだ。僕とリアとの会話の断片を聞き、後を追ってきてくれたリアを拒否するなんて……。
「それよりレオン様こそ、どうされましたか?」
きょとんととぼけた顔を作る。
僕は表情を意識して変えるのに、元王子はしかめっ面のままだ。この人は自分の裏も表も持っていないのかもしれない。
それが僕にはとてつもなく羨ましく、さらに彼に対する憎悪の感情が肥えていく。
「俺は……リアがこんな時間になっても出てこないから心配になって」
一瞬、戸惑ったような間を僕は見逃すことができなかった。
本当は昨日のことを謝りに来たのだろう。
「リアには今睡眠が必要なので、もう少し寝かせてやってくれませんか」
短い時間でも嫌というほどティオン様の良い人柄を知り、その能力も力量も知った僕は本当に彼ならリアを幸せにすることができると確信した。そしてリアをティオン様の元へ送り出したのに、帰ってきたリアは今まで見たことのないくらい悲しい顔をしていた。
リアには幸せになってもらいたい。けれど……だからこそ、あんな顔をさせる人にはリアを渡したくない。
