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異種間恋愛

第15章 暴かれた婚姻

 獣の姿にされ、人目を避けて過ごさなければならないのに加え永遠に死ぬことができないとなればどれほど絶望するか私には想像ができない。
「もう元通りになったんだ。そんな顔をするな」
 レオが私の頬をそっと撫でた。
 レオに撫でられると私は猫にでもなったような気持ちになる。いっそ猫になってレオに飼われたいとも思ってしまう。そうすればずっとレオの脚に纏わりついて、頬を擦り付けてレオの存在を確かめ続けることができるのに、と。
「変なことを考えるな。人間の姿でもずっと傍にいればいい」
「そうね。って……えぇ!!」
「うるさい」
 レオが私の口を手で覆った。
「ほうはっふぇ、ふっふぁっはほ! ふぁほお?」
「だから、お前は分かりやすい。別に俺は魔法使いでもなんでもない」
 レオが口を塞いだままで私の肺には十分に酸素が供給されない。
「ふう」
 離された口から思いっきり息を吸い込むと落ち着いた。
「騒がしい奴」
 レオが面白そうに笑ってから。舌をぺろっと出した。今まで見たことのないレオの表情に私は嬉しくなった。
「レオって本当は魔法使いなんでしょ?」
「馬鹿か。それはお前が単純すぎるからだ」
「そんなことないもん」
「どの口が言う」
「こーのーくーちっ」
 しばらくそんな意味のない会話を繰り返してから私たちは同時に吹き出した。
 レオが笑うと目尻に優しい皺ができた。
 アーモンドの形をした青い瞳を細めて笑うレオの顔は眩しい。

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