
ガーディスト~君ヲ守ル~
第4章 バイト
そうこうしてるうちに、2人は(株)カリーヌと書かれた、扉の前に着いた。
扉を開けると、受付の女性が応対してくれる。
「こちらでお待ちください」と、別室に案内された。
ほのかにいい香りがする。
周りには、数々の健康食品が所狭しと並べられていた。
「パワーみなぎる各種成分とビタミンを配合したドリンクかぁ~いいな~」
護は栄養ドリンクを手にとった。
「俺の分もお願いしますね」
「あぁ…って、自分で買えっ」
ガチャ。
その時、別室のドアが開く。
目の前に現れたのは、髪を後ろで束ね、白のスーツを着た女性だった。
カツカツとヒールをならし、女性は2人の前に立った。
そして品定めするかのように、上から下まで視線を移動させる。
(なんだ?この女…)
護は眉をピクッとさせた。
「はじめまして、代表取締役の薄井冴子と申します」
女性…薄井冴子(うすいさえこ)は、やっと口を開いた。
名刺をケースから取り出し、護に渡す。
「はじめまして、(株)乙姫の白石と村上です」
護と祐司も、それぞれの名刺を冴子に渡した。
冴子は祐司の名刺を見て、
「あなた、祐司って言うのね。いい男だわ」
祐司に向かって微笑んだ。
(俺は無視かよ!)
護は心の中で叫ぶ。
「どうぞ」
冴子はソファに座るよう促した。
「早速ですが、今回の依頼の内容を聞かせていただけますか?」
感情を抑えて、護は話を切り出した。
「簡潔に言うわ。
1ヶ月前から出るのよ、なぜかこのフロアにだけ。最初は気にもとめてなかったんだけど、あまりに気味悪いから社員が数人辞めてしまったの。こっちはいい迷惑よ、新人育ててもまた一からやり直しだもの。霊媒師に頼んだけどインチキばかりだし。だから噂を聞いてあなたたちに来てもらったの」
淡々と話す冴子。
「そうですか…では今日からこのフロアを警備する、ということでよろしいですか?」
「お願いするわ」
言いながら、冴子は立ち上がった。
「あたしは忙しいの。仕事の邪魔だけはしないでね」
冴子は足早に部屋を出て行った。
「なんっだ?!あの女…」
護は拳を握りしめながら小声で発した。
祐司も苦笑する。
