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完熟の森

第27章 雫と僕

家の前にはもう田村さんの車はなかった。


「雫!」


ドアをノックもしないで部屋に入った。


雫が直ぐに駆け寄って僕を抱き締めた。


「ごめんね、嫌な思いさせちゃって…
担当代えてもらうから…」


「雫…雫…」


僕は言葉が出なかった。


だけど雫を手放したくなくてキツく抱き締めた。


「千晶は私の恋人よ。

誰に何て言われても、人がどう見ようと構わない。

千晶は私の恋人」


そう言って僕の背中をさすってくれた。

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