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ブルースカイ

第12章 コウ

飯が終わり、部屋に着くと、恵が言った。









「早速やけど、詞見せてや。」









俺は苦笑し、荷物から作詞したルーズリーフを取り出し、恵に渡した。









今は正確な詞の内容は覚えていないが、切ない詞だった事だけは覚えている。









確か死別を匂わせるような別れの詞だった。









「なんか嫌な感じやな。」









「彼女に見せる詞やないわな。」









「そうやん、気悪いわ。」









「やっつけやから、思い付くままやし。」









「この『君が思い出になる前に』ってフレーズありきたりやし、詞短いし。」









「才能ないねん。いっぱいいっぱいやねん。」









「書き直しや。うちの事、想って書いてや。」









こいつ、またムチャな要求するわ・・・、と思ってもややこしくなるから口には出さず、素直に従う。









よし、意味わからん事書いたろ。









マジンガーZの替え歌で、『横で、もだえる、エロエロ恵』と書いた時点で、頭を叩かれる。









「アホ、ちゃうわ。何もしてへんのに、もだえてたら単なる変態やん。」









「えっ、ちゃうん?」









「アホ、アホ、アホ。」









恵はそう言いながら、俺を叩き始めた。

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