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温もり

第11章 七日目

 零九はその光景を見て頭が真っ白になっていた。
 男達に押さえ付けられ、抵抗はしても男の力に敵う訳もなく、罵られながら何度も犯されていく。
 それはもう、ニニの姿にしか見えなかった。
 第二次性徴を迎えた辺りから始まった『実験』を目の前でされている様にしか感じない。
 彼女を助けたいと強く思う。が、体は酷いダメージに悲鳴を上げ、それを振り切ってでも、と言う気力は恐怖に屈している。せめてもと声を上げようとしても、潰れかけた喉笛は殆ど言葉を発せない。

 腰を振る男。
 泣いて悲鳴を上げる女。
 唾を吐きかける男。
 痛みしか訴えない女。
 はやし立てる男。
 初めての世界が檻の中の女。

 零九は血と怪我に塗れた手を彼女に伸ばす。自分は味方だと伝えたくて。
 だが、すぐに力尽きてしまう。
 あれはニニじゃない、言葉も持たず、意思の疎通も難しい女なのだから、自分がどんなに思っても、何かが伝わる訳もない。伝わらないなら、思っても無駄。自分も大変なのだから、今は自分の事を大切にしよう。
 そうだ、彼女が犯されている間は、自分はなにもされない、これは良い事じゃないか。

 そんな事を考えている自分に、零九は、失望した。

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