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温もり

第4章 母

 ガシャン! と重い音がして零九はハッとして振り向く。
 ラディが気づかない様に空間を歪めていたのだろう、零九は巨大な檻に閉じ込められていた。ニニを残して来た部屋よりも広い檻の中には零九しか居らず、ラディは檻の外でクスクス笑っている。

「何を……」

 嫌な予感しかしない彼は顔を恐怖に真っ青にして彼女に問う。
 檻のある部屋は広く、両脇にも同じ檻があり、それ以外にも何に使うのか解らない器具や機械が無数にある。

「ここに居る人達、最近ストレス溜まってるらしいのよ。ちょっと相手してあげてくれる? ふふふ……」

 堪えきれない笑いを漏らし、彼女は恐怖に青ざめる息子を見る。
 彼の体を弄び、心を折り、それでも彼女は満足していなかった。憎しみも疲労と恐怖に消え、プライドすら折ったのに、妹に対する愛は今だ折れる事も消える事もない。それがラディは気に入らなかった。

「そんな……ニニを解放してくれるんじゃないのか?」

「してあげるわよ。貴方がこの人達を満足させたらあの子は解放してあげるわ」

 恐怖に青ざめても、ニニの事を第一に考える零九。
 ラディは彼の顔を掴み、力任せに引き寄せる。

「せいぜい玩具にされなさい?」

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