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「あー！ あー……う？」

　近づいて来る彼らの表情が何か変だと感じ取った彼女は、本能的に危険を察知して両足を引きずって逃げようとする。歩みは遅く、彼らが普通に歩いている速度で追いついてしまい、捕まる。

「うーうー！」

　ジタバタと暴れるのだが、四人の力に敵うはずもなく、彼女は床に押さえつけられ、ニニ三がその胸の上に乗り、首に手をかける。

「きゃう……」

　彼女の口から甲高い声が漏れ、それは締められているから出たのだと零九は理解する。

　檻の中、時間は凍りつく。
　十秒程、彼女はもがいたのだが、やがて動かなくなる。

　彼らがどうして彼女を殺したのか、零九には理解出来た。
　自分達と一緒なのだ。苦しみから解放するには、死を与えるしかないと解っていての行動なのだ。
　だが、零九にはここにいる意味があった。だから、どんなに痛くて苦しくて、屈辱的であっても、死ぬ訳にも、抜け出す訳にもいかない。彼女を、ニニを救うには。

　彼らは彼女が死んだのを確認し、持って来た掃除用具の中からノコギリを取り出す。
　それも何故なのか零九は知っている。合成獣を片付ける時も一緒の事をしているから。

　ギッ……ギッ……と断続的に音が響く。
　誰一人として言葉を発しない静寂の中、その音は小さい音にも関わらず、耳を塞いでも聞こえ、恐怖に胃がキリキリと痛んだ。