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第22章 case9 【思惑乱レル妨害ノ手】 2

続けられなかったのは、斎が手にしている果物ナイフが視界に入ったから。

・・・ナイフ、何に、使う、の?

「絢乃」

「・・・」

返事は出来なかった。

「いっそ、殺せたら楽になるかも」

ぽつりと呟く斎が淡々としていて、逆に怖い。

「心臓に突き立てたら、終わる」

怖い独り言が、続く。

カバーを外し、抜き身の刃が蝋燭の灯で、キラッと光る。

私、ここで終わっちゃうの?

助けてッて言うべき?

口を開く・・・声が、出ない。

多分恐怖で。

恐怖の連続で、体力も消耗しきってる上に、四肢を鎖で絡められていてはどうにもならない。

「冗談だ。殺るなら、既に殺ってるし、こんなまどろっこしい事はしない」

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