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恋のかたち

第7章 夏休み ~スタート~

「今日からお世話になる羽河優愛です。よろしくお願いします」
ぺこっと頭を下げた

「はい、じゃあこれをよく頭に入れてね。社長補佐から預かったの」

まだ20代に見える、緩やかな巻き髪の強い眼差しを持った森山という女性は黒革の手帳を渡してきた

礼を告げ、受け取る

少し愉しげな顔で頬杖ついて優愛を見てくる

「ふふっ今日から3日間で叩き込んであげるね」
素敵な笑顔に鳥肌が立った優愛だった


森山は、優愛に電話の取り方、秋豊の補佐業務の詳細
パソコンのメールで送られてくる書類を整理して秋豊へ報告

書類に不備がないことの最終チェック
スケジュール管理を事細かに教えた

優愛は、メモを取りながら森山の話を聞いて学んだ

気づいた時には昼の一時を回っていた

「あっいけない。私予約が入ってたのよ。」

突然気づいた森山は、慌てだす

「羽河さん、もういいわね?私が教えた事をとにかく実践してわかんなかったら、内線できいて。誰か答えるはずよ」

早口で、じゃっと片手を上げて、壁にかけていたジャケットをとると、足早に出て行った・・・と、思ったらまた戻ってきた

机の横に設置してある棚に置かれたカバンを掴むと踵を返して、小走りに去っていった

優愛は、去っていく森山の背中に向けお礼を告げた

その声に振り返った森山は口元を緩めて優愛を見たが、何もいわずに行ってしまった

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