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恋のかたち

第6章 夏休み

図書館に入ると、ひんやりとした空調が心地いい

優愛は、真っ直ぐ料理関連の棚へ向かった

基本の料理、おかず料理、アレンジレシピ他数冊を棚から取ると左腕に重ねていった

本棚の奥に、テーブルと椅子が幾つか用意されてある空間があるため
そちらに移動した

数冊の少し重みのある本をテーブルに乗せ、静かに椅子を引いて、基本の料理から目を通し始めた

他のテーブルを利用していた何名かの生徒は優愛が三冊目を読み終わる頃には退室したようだ

優愛は、一通り目を通した本をまた、もとあった本棚へしまった

カウンターに設置された時計は、午後3時を回ろうとしていた

優愛は、ようやく図書館を後にした

駅に繋がる専用通路に向かおうとした際、見覚えのある車が目に入った

もう一度、車を見ようと数歩下がり、校門をみた。

噴水から透けて、はみ出して見える車体

校門側へ続く校庭へ足を向けた

近づくにつれ、秋豊の運転するあのマジェスタに間違いないことに気付く。

優愛は、いつの間にか走り出していた

駆け寄った反動で、助手席のドアに軽く衝突するようにして止まった

運転席から、驚き顔の秋豊と目が合う

秋豊も降りてきて、車のルーフ越しに話しけてくる
「ったく、おせぇし、ビビらすし。何なんだよ。拗ねてんのか?」

前髪を持ち上げるように掻き、バツの悪そうな顔で優愛をみると、目をそらした

「朝は・・送れなくて悪かったよ」
声は小さかったが、優愛にはしっかり聞こえていた

優愛の胸はぎゅっと熱くなる

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