君がくれたぬくもり
第53章 待ち人
え…?
声?
慌てて振り向く。
そして陽菜は目を丸く見開いた。
「ぁ………」
そこには待ち焦がれた人…。
その足には包帯が巻かれていて、手には松葉杖。
タバコをくわえ、陽菜を見つめる。
「ど、どうしているの!?
てか、足!一人で来たの!?」
「お袋に連れてきてもらった。てめぇこそ一人で来たのか?」
「……ぅん…」
「バカ。あぶねぇからこんな遠くまで一人で出歩くな。」
岳は火をつけたばかりのタバコを地面に捨て、ぐしゃっと潰す。
陽菜は少しムッとした。
何よ……
もう別れたんだから関係ないじゃん……
「岳に言われる筋合いない…」
「ん……まぁ…な。」
ビュウッ…と冷たくて寂しい風が吹く。
沈黙になった。
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