君がくれたぬくもり
第45章 逃走
パニックになる陽菜の肩を掴み、幸子さんは言った。
「岳って……
どういうことなの?」
「だから…岳が…助けに来てくれて……っ、陽菜がグズグズしてるから……岳が……岳が………ッ」
だめだ。
なに言ってるか全然伝わらないよ…
泣いちゃダメなのに…
すると幸子さんが言った。
「みんな、逃げるよ!
グズグズしてないで早く!」
「さ、幸子さん…」
「詳しい話は後で聞くから、今は陽菜ちゃんの言ったとおりにここから逃げるわ。」
幸子さんはニコッと笑うと、牢獄の女の人たちを誘導して走り出した。
陽菜も続こうとしたが、
廊下に響く嫌な音………
―――「ウルァッ!」
――――バキッ、ドガッ
「岳………っ…」
ごめんね。
陽菜、やっぱりあなたを見捨てて逃げれません…。
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