君がくれたぬくもり
第44章 悪巧み
――――数分後
千夏の家に着いた。
「岳ちゃん!」
バイクの音を聞き付けたのか、千夏が玄関から出てくる。
「陽菜がどうしたって…?」
「ふふっ、とりあえず上がんなよ?」
千夏は俺の腕に絡み付くと、家に引き入れる。
陽菜の居場所を知りたかった俺は言うとおりに動いた。
―――パタン
千夏の部屋に入る。
むせ返りそうな甘ったるい香りと
淡いピンクと白で統一された女らしい部屋…
何回訪れても慣れない雰囲気だ。
「千夏…」
「ねぇ、あたしやっぱり岳ちゃんが好きなの。」
「は…?」
千夏はふふっと笑いながらベッドに座る。
弾力性のあるふかふかなベッドが千夏の重みで揺れる。
「要するに!
陽菜ちゃんと別れてあたしと付き合ってくれるなら、陽菜ちゃんの居場所教えてあげる!」
「てめぇ……」
「陽菜ちゃんがどうなっても知らないよ?あ、ちなみにこれ陽菜ちゃんだから!」
千夏はベッドの脇に置いてあった茶封筒を手にとり俺の方に放り投げた。
中を見ると、一万円札の束…
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