君がくれたぬくもり
第30章 オレンジ
「陽菜のことは好き“だった”。でももう…お前のことは考えたくない……。」
―――ズキン
“考えたくない”
きっぱりと言われてしまった。
「………だよね。
岳、彼女いるもんね…。
ごめんね!!」
やばい……
泣きそう……
何で言っちゃったんだろう。
傷つくのはわかってたのに。
「帰るぞ。乗れよ。」
岳はバイクからヘルメットを二つ出し、陽菜に渡した。
陽菜は黙って受け取りかぶる。
そして岳の後ろに跨がった。
「しっかり掴まっとけよ。」
「……ん。」
ゆっくりと腰に手を回す。
岳に抱き着くのは今日で最後…。
バイクが走り出す。
陽菜は大好きだったその背中の感触を忘れないように
いつもより強くしがみついた。
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