君がくれたぬくもり
第30章 オレンジ
朝方4時…
早く目が覚めた陽菜はコートとマフラーをつけ、少しの所持金を持って家を出る。
どうしても行きたいところがあったのだ。
まだ日も昇っていない朝の空気は凍るように冷たい。
しかし腫れた陽菜の涙を冷やすにはちょうどいい気温だ。
大きく伸びをし、陽菜は歩き出した。
―――――………
――――――……
歩いて約1時間。
「……着いた…。」
ザザーッと大きく波打つ波。
陽菜が行きたかった場所とは、岳との思い出の海。
もう何ヶ月も行っていなかった。
夏以来だから…
冬の海は初めてだ。
冬の海は波が荒く、周りの木々には葉もなくて寂しい感じがする。
今の陽菜の心をそのまま表しているようだった。
「……寒…」
結構着込んできたつもりだったが、思ったより風が冷たい。
陽菜は砂浜に座り、空を見上げた。
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